作品解説
- yuhkamurao
- 2020年4月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年4月19日
個展に出展する作品のいくつかを、解説します。
◎野菜シリーズ
「フロッタージュ」 凹凸のあるものに紙を押し付けて上から鉛筆等でこすって模様を写し取る、凸版画の一種。紙を持って近所を散歩し、樹皮や石垣などいろいろなものを写しました。
◎民芸シリーズ
この背景は、シャボン玉や油など水との反発を利用して作りました。
◎人物はあまりかいたことありませんでしたが、今回挑戦した歌舞伎は、好んでかいていた鶏から派生して“過剰 な装飾”の、奇妙で華麗なところに惹かれました。
「阿古屋」
平家の残党で失踪した景清の愛人・遊女阿古屋は、景清の行方を追う源氏側に取り調べられる。詮議役の岩永から、箏・三味線・胡弓を演奏させられ〝隠し事による動揺が見られるか?〟という拷問を受ける。
「自分の勤める店の格子先を通り過ぎる際に編笠越しに〝ご無事で〟の一言、これが最後だ」と嘆き、気丈に演奏を披露した阿古屋、曇り のない音色で嘘偽りないことを証明する。
岩永、拷問役の竹田奴は、生身の人間が演じるが人形という設定で演技している。岩永の後ろには黒子がいて腕の動きを操作したり眉毛がクルっと動いたりする。竹田奴は落書きのような顔で、竹槍や水責めの桶など拷問道具を持って、キーキーと奇声を発しピョンピョン飛びながら出て来てそして去っていく。この二役が人形なのは 浄瑠璃の名残である。
「葛の葉」(芦屋道満大内鑑)
安倍保名(やすな)、女房葛の葉、幼い童子。
ある日保名の本物の許婚である葛の葉姫が現れた。瓜二つの二人の 葛の葉。女房の葛の葉は、昔狩で殺されそうになったところを保名に助けられた狐であることを眠る子に告白、 人間以上に親子の情愛を大切にする狐であるが、身を引き出ていく決意をし障子に和歌を書き残す。 「恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太(しのだ)の森の うらみ葛の葉」
右手で「恋」、しくばは「はくし」と逆に書く。起きてぐずる子を抱いてあやしながら「〜和泉なる」まで書くと、子がすがりついてきたので筆を左手に持ちかえ「信太の森の」を裏文字で書く。右手で「うらみ」まで 書くと童子が泣くので抱きしめながら筆を咥え、口で「葛の葉」を書いた。不思議な筆の運びは、狐のわざゆえである。
「送り提灯」
送り提灯は本所七不思議のひとつ、暗い夜道で人を惑わす怪異である。歌舞伎「黒塚」から発想した。
「黒塚」...夫に捨てられ世を恨んできた老女が人を食らう鬼女と化す。鬼女の姿を隠し宿を貸した僧からの“来世 は救われる”の言葉に嬉しくなり、安達原の芒(すすき)原で、童心に帰って月影と戯れながら踊っていると、屍の 山を見つけ逃げ出て来た僧と出くわし、僧の恐怖に歪む顔を見てふたたび鬼女の姿に。



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